暮らしと治療

仏教のこととか、子どものこととか、

日々思うことや書きたいことは山ほどあるのに、

この更新頻度の低さは従来の怠惰な性格ゆえでしょうか。

 

息子は昨年末、無事に1歳を迎えることができました。

1歳過ぎてもまだ座るどころか首もすわらないし、

寝返りもまだまだ。

だけど、経管栄養の鼻チューブだけは

確実に自分で引き抜く術は覚えたようで、

抜き取ったチューブを右手にとり、

満面の笑みで振り回している様を見たときは、毎回

思考停止します。

固定のテープも器用に剥がすんですよね。

1日に3回はやられているような。

 

世間一般に比べたらだいぶゆっくりながらも、

この子なりに、少しずつ成長しています。

 

道ゆく通りすがりの人から見ると、

5〜6ヶ月の大きめの赤ちゃんに見えるようです。

なんかね、赤ちゃんの時期をすごーくゆっくりと

堪能させてもらっているようで、得した気分です。

 

さて。息子は4つの病院にかかっています。

毎月の定期受診とシナジスなどを受ける、かかりつけの大学病院。

発達やリハビリを専門とする病院。

心臓手術をした遠方の大学病院。

遺伝診療専門の病院。

 

毎週どこかの病院に行っています。

 

病院とは、疾病や疾患に対して医療を提供するところ。

医療とは、医術で治療すること。

だから、患者の健康状態を良くするために、

医師たちは患者を治療するための方法を考え、それを実施する。

今まで息子の治療に携わってくれた先生たち一人一人を思い出しても、

感謝の気持ちしか見つからないです。

(実際は色々と文句も言いましたが。命かかってたし。。。)

 

しかし治療は時に苦痛で、日々の暮らしとは真逆の環境を強いられます。

息子の場合は手術を繰り返したこともあり、体重がなかなか増えなかったので、

EDチューブを入れて治療することになりました。

24時間ずっと腸に栄養を流し続けるのです。

胃に入れるNGチューブより、はるかに太くて硬いチューブ。

これを入れてから、息子は一気に元気と笑顔と生活のメリハリがなくなり、

常に寝ているか泣いているか、という状態になりました。

 

こんな状態にさせて、本当にいいのか?と頭に不安がよぎる一方で

でも今はとにかく体重を増やすことが一番だ!

と自分に言い聞かせて、治療を続けました。

 

モヤモヤ、モヤモヤしながら治療を続けること1ヶ月くらい。

夜中に息子が自分でチューブを引っこ抜いたのです。

「よくやった!グッジョブ!」ってガッツポーズしました。

 

ちょうどその後に出会った先生が、

 

「この子の疾患に合った成長曲線というものがあるかもしれない。

一般的な成長曲線にのせるために無理して体重を増やそうとしても、

しんどいだけ。

いい音楽を聴く。四季を感じる。

心地よい暮らしをすることも、大事なことですよ。」

 

と仰っていました。はっとしました。

息子の疾患と向き合う上で、指標になっているような気がします。

 

結局、息子は原因不明の希少疾患を持っているようで

最先端の研究を駆使して原因を調べてもらっている最中です。

もしかして、うちの子、世界初かも?!

とワクワクしている不謹慎な私です。

 

治療は治療で大事。

だけど、暮らしの質を守ることも大切。

治療と暮らし、どう受け入れて、どうバランスをとるか。

子どもにとって何が最適なのか。

それを決められるのは、親しかいません。

多くの医師に子どもの状態を知ってもらい、話をして、

多視点からの意見をもらうことの重要さを思います。

Photo by havens.michael34